日本木造住宅産業協会

(一社)日本木造住宅産業協会(略称/木住協)は、木造軸組工法住宅等の普及と健全な発展に寄与することを目的とした法人です。

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住まいのトレンドセミナー

「宅配ボックスの現状と課題」をテーマに
矢野裕児・流通経済大学教授を講師に招き住まいのトレンドセミナー

資材・流通委員会が開催

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資材・流通委員会(澤田知世委員長)はこのほど、矢野裕児・流通経済大学教授を講師に招き、「宅配ボックスの現状と課題」をテーマに「住まいのトレンドセミナー」を開催しました。日常生活で欠かせないものとなっている宅配便ですが、流通量の増大や受け取り側の住まい方の多様化などによって、再配達回数の増加や配送ドライバー不足といった面でさまざまな課題が噴出しているのが現状です。そのような中で住宅設備機器メーカーや大手住宅企業から宅配ボックスの新商品が発売され、需要も増大しています。矢野講師は講演の中で折角の宅配ボックスが稼働できなかった点を解説すると同時に、新機能を付け加える必要性を説明し、「宅配ボックスの標準化が必要になる」などと強調しました。

宅配便の取扱量は年間35億個と急増

矢野講師によると、1976(昭和51年)にヤマト運輸が宅急便サービスを開始して以降、宅配便の取扱量は年間35億個と急増しています。この背景には通販市場の17年連続の増加や小売販売の変化、物流サービスの多様化などがあると指摘し、矢野講師は「宅配便は今や生活に欠かすことのできないインフラになりました」と強調しました。

その一方で配送ドライバーの不足や高齢化、受け手側の不在に伴う再配達の慢性化といった問題も発生しています。特に再配達問題が深刻化しており、1回の訪問で配達を完了したのは全国平均で80.4%にとどまっており、全体の20%が再配達となっています。その結果、CO₂排出量の増加(年間約42万トン)や労働時間の増加といった環境面、経済面での損出が表面化しています。

利用者サービスの一環として、マンション分譲業者では宅配ボックスの設置比率を高めているほか、一戸建て住宅でも従来の郵便ポストより大きい宅配ボックスの開発・普及も進んでいます。利用者に対するアンケート調査で、「どのような方法であれば1回で確実に受け取ることができたか」を聞いたところ

  • 「自宅付近のコンビニのレジ」…約7割
  • 「職場近くのコンビニのレジ」…約2割
  • 「自宅付近のコンビニに設置されたロッカー」…約6割
  • 「自宅付近の駅に設置されたロッカー」…約3割

という結果(複数回答)になり、不在時にはコンビニや最寄り駅に設置された宅配ボックスで受け取りたいというニーズが高いことが分かりました。

自宅以外にこのようなオープン型の宅配ボックスを設置する動きが宅配企業の間で活発化しております。矢野講師は「ヤマト運輸はオープン型宅配ボックス事業の新会社を設立し、2022年度までに全国に5000台を設置するほか、日本郵便も自社の『はこぽす』を、同業の宅配企業も利用できるオープン型に変更する計画」などと最近の動向を紹介しました。

その一方で、「オープン型の宅配ボックスの設置費用が高く、一社だけではなく共同利用を含めた検討が必要」「宅配ボックスの大きさが標準化されておらず、各社の利用方法に差異があり、今後、標準化の検討がある」「設置に際して国による補助制度が欠かせない」――と今後の課題を指摘しました。

需要の高い宅配ボックス市場、新機能の付加なども必要に

住宅用の宅配ボックスはマンションなどの集合住宅を中心に普及しているものの、一戸建住宅では普及の緒についた段階です。矢野教授とパナソニックが共働き世帯が多い福井県あわら市の100世帯に戸建て用宅配ボックスを設置して実証実験を行ったところ、従来では再配達件数が49%あったのに対し設置後は8%に減少したことを紹介。矢野教授は「高齢者にとって配達しても直ぐに受け取れないといった問題もありましたが、設置によってこうした問題も解決でき、利便性だけでなく利用者にとっても優しい仕組みになりました」と評価していました。

実証実験を通して、「宅配業者がボックスに入れてくれなかった」「ボックスがいっぱいだった」「配達物が冷蔵・冷凍品だった」「大きすぎて入らなかった」「代引き、書留だった」など、宅配ボックスが稼働できなかった課題もありました。しかし、使用満足度を聞いたところ74%が「かなり満足している」と回答、「やや満足している」を加えると98%の利用者が満足しており、戸建て用宅配ボックスの需要の高さが分かりました。

宅配ボックスを利用して求められる新機能を聞いたところ(104人複数回答)

  • 冷凍・冷蔵品が受け取れる…56人
  • 複数回受け取れる…46人
  • 郵便書留などの貴重品が受け取れる…46人
  • 認識番号によるロック解除機能…24人
  • メッセージ預かり機能…8人
  • 安否確認ができる見守りサービス機能…4人

などを利用側が期待していることが判明しました。

セミナー写真

講演の中で矢野教授は、「利用者にとって利便性が高く、かつ持続可能な物流サービスを構築する必要があります。宅配の受け取りシステムは社会の共通インフラになっており、宅配ボックスの標準化や利用者が求める機能アップが必要となっています」と指摘しました。

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